知的障害は治りますか?を読んで。発達障害児の親が感じたこと

知的障害

今回は『知的障害は治りますか?』という書籍を紹介します。
知的障害や発達障害というデリケートなテーマを扱った本ですが、その内容は非常に参考になるものだったので、この場を借りて感想をお伝えさせてください。

本書の内容や感想を書く前に、まずは私と私の息子のことからご紹介します。

私は、2児の父親で8歳の娘と4歳の息子がいます。
息子の名前は『てれれ』で、彼は3歳の時に自閉性スペクトラム症と診断されました。
全ての自閉性スペクトラム症の子供がそうであるわけではないのですが、『てれれ』は発達の速度が他の子どもと比べて非常にゆっくりです。
4歳になっても未だ喋ることはできないし、お箸やスプーンを使ってご飯を食べることも難しいです。
そんな『てれれ』は、現在、とある田舎町の幼稚園に通っており、そこで幼稚園の先生方に暖かく見守られながら、毎日を元気いっぱいで過ごしています。

『てれれ』本人は、自分の成長のスピードがゆっくりなんてことは全く気にせず、いつも楽しそうに色々なことに挑戦していて頼もしい限りです。

とはいえ……
やっぱり親の私たちは、いつも『てれれ』の将来を心配しています。

『てれれ』は、食事の時は介助が必要だし、自分でお洋服を着たり、靴を履いたりすることができません。
トイレについても自分で「オシッコした~い」とか「ウ●コもれそうだよ〜!」といった便意を伝えることができないので、いつもオムツをしています。

そして、喋ることや文字を使って人に何かを伝えることができません。
相手の喋っていることを理解することについても困難が伴います。

そんな『てれれ』は、親の私たちがいなくなった後も幸せに生きていけるのでしょうか…?

きっと、医学が相当に進歩して知的障害や発達障害を劇的に改善するようなお薬や技術などが発明されない限りは、『てれれ』の今の成長の速度では、大人になったとしても普通の人と同じように自立した暮らしを営むことは難しいでしょう。

そのことを考えると、知的障害を持つ『てれれ』のことがとても気がかりです……。
『てれれ』の知的障害がなければ、『てれれ』は普通の人と同じように生きていくことができるのに……。
私や妻のことを『パパ、ママ』と呼んでくれるはずなのに……。

ああ、だれか。
教えてください。

我が子の知的障害(発達障害)が治る日は来るのでしょうか?

この問いは、知的障害や発達障害のお子さんを持つパパさんやママさんならば、誰しもが一度は、誰かに尋ねたことがあるのではないでしょうか。

夫に。
妻に。
家族に。
友人に。
お医者さんに。
幼稚園の先生に。
支援施設の指導員に。
名も知らぬ誰かに。
自分自身に。
そして、神さまに。

もう一度、問います。
誰か、教えてください。

我が子の知的障害は治る日が来るのでしょうか?

この切実な問いに真摯に答えてくれるのが、
知的障害は治りますか?
という愛甲修子さんという方が書いた本です。

本の紹介に入る前に、この本の著者である愛甲修子さんの紹介をしておきましょう。

愛甲修子さんは、千葉大学大学院修士課程を修了し、その後は、知的障害児施設や知的障害者更生施設の言語聴覚士、児童相談所や身体障害者福祉作業所の心理士、スクールカウンセラー、千葉県特別支援教育専門家チーム委員を務められた方です。
そして、本書『知的障害は治りますか?』では、愛甲修子さんが、それらの仕事を通して学んだことがまとめられています。

『知的障害は治りますか?』は、

・知的障害や発達障害で悩んでいる方
・知的障害者や発達障害者を家族に持っている方
・知的障害者や発達障害者が身近にいる方
・知的障害者や発達障害者を支援するお仕事に就いている方
・知的障害や発達障害について興味がある方

におすすめです。

この記事では、知的障害の息子を持つ私自身が『知的障害は治りますか?』を読んで、特に大切だと感じたことや新たな気づきとなったことをまとめたので、ぜひ興味がある方は参考にしてみてください。

知的障害とは何なの?

まず、そもそも知的障害とは何なのでしょうか?

本書の読者である私自身の立ち位置は、知的障害・発達障害児の父親です。
しかし、そんな私は、これまで『知的障害』が具体的にどういったことを意味するか、上手く説明することができませんでした。
『知的障害』について、詳しく知りたいと思えなかったからです。
おそらく『知的障害』という言葉の意味を深く知ることが怖かったのだと思います。

誰に聞いたというわけではありませんが、私自身『知的障害』は一生治らない、という漠然としたイメージを持っていました。
なので、
「『てれれ』は一生『知的障害』を抱えたまま生きていくのだろうなあ……」
と半ば諦めの気持ちを抱きながら日々を送っていました。

私は、不甲斐なくも『知的障害』について深く知ろうという意欲やきっかけもないまま、『てれれ』が生まれてから4年以上の月日を生きてきたのです。

しかし、YouTubeで『てれれ』の成長の記録を発信するようになり、チャンネルを見てくださる方が増えてきてからは少しずつ考え方を変えていくようになりました。
もっと『てれれ』の自閉性スペクトラム症という症例について深く知りたい、と思うようになったのです。

前置きが長くなってしまいましたが、これで、ようやく本題に入れます。

それでは直球で行きますね。
皆さんは『知的障害』が、どういったことを意味する言葉か分かるでしょうか??

本書によれば
『知的障害』とは、認知発達に遅れがある状態と定義されています。
一方、認知発達は、文字や言葉を使って生きる力のことを表しています。

人は、文字や言葉を使う社会的動物です。
人は、文字や言葉を使うことで社会生活を構築しています。
なので、文字や言葉を使うことが苦手な『知的障害』の方(認知発達に遅れがある方)は、人間が社会的動物であるがゆえに、人間社会で生きていくことはかなりの困難が伴います。

『てれれ』も言葉が喋れず、言葉を理解できません。
よって、本書によれば『てれれ』は知的障害を持っているということになり、今後、学校や職場など社会で適応していくことについて、とても苦戦することが予測されるでしょう。

知的障害のある子供は成長しないの?

過去の歴史では、知的障害のある人々は受動的に生きることを強いられてきました。
作家のパール・バックは、1950年に彼女自身の知的障害を持つ娘について書いた本にこんなタイトルをつけています。
『The Child Who Never Grew』。
それは『決して成長しない子供』という意味です。
邦題も『母よ嘆くなかれ 』となかなか強烈なタイトルで、これらのタイトルからも明らかなように、かつては知的障害のある子供は生涯成長しないと考えられてきました。

しかし、それは事実ではありません。
知的障害のお子さんがいる家庭ならお分かりになるかと思いますが、知的障害を持つ子供も、とてもゆっくりではありますが少しずつ成長しているのです。

では、知的障害は治るのしょうか?

結論から言えば、知的障害は治ります。
そう、知的障害は治るのです。

実際、愛甲修子さんがこれまで出会ってきた方の中には、知的障害が治り、療育手帳を返納した方もいるのだそうです。

では、どうやって治ったのしょうか。
それについては後述しますが、ざっくりと言うと、

知的障害の方も、中枢神経系の発達を促すことで内臓を含めた身体全体の機能が整い、知的な発達が促されることで積極的な姿勢で人生を送ることが可能になるとのことです。

知的障害改善の具体的な方法については、順を追って説明していきます。

知的障害の診断は意外にも大雑把

知的障害の治し方を紹介する前に、意外と知られていない知的障害の診断の落とし穴についても知っておいた方が良いでしょう。

実は、お医者さんの診断は意外と大雑把なところがあるらしく、そもそも本当に知的障害なのか、を疑ってみる余地もあります。

これがどういうことなのかというと、日本の医療機関は「脳のどこかに損傷があるから知的障害です」と診断するのではなく、ただ知能指数の数字を見て『知的障害』です、と診断することが多いということなのです。
つまり、知的障害かどうかの診断について、器質的な診断を受けた人はほとんどいないということになります。

確かに、よくよく考えてみれば不思議な話ですよね。
私たちは、原因もよく分からないのに『知的障害』と診断され、場合によっては「一生治らない」と宣言されることもあるわけです。
しかし『知的障害』と診断されるならきちんと根拠が欲しいし『治らない』と言うのならば、それについてもきちんと根拠を提示して欲しいと思うのは自然な感情ではないでしょうか。

ちなみに、現在、知的障害をIQ以外の能力で判断する、というのが世界の流れとなっています。
たとえば、アメリカ精神医学会が発行する分類および診断ツール『DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアルの 2013 年版)』では、知的障害の重度・中度・軽度の度合いを判断するために、概念的領域、社会的領域、実用的領域という3つの領域を用いています。
つまり、アメリカでは知能指数ではなく、概念的領域、社会的領域、実用的領域の3つの領域それぞれの適応能力をみて知的障害の度合いを決めているのです。

日本で一般的に使われている知能検査は、検査できる領域は狭く、生きる上で大切な能力のすべてが測定されているわけではありません。
知的障害と診断されたとしても原因の特定はされないし、言葉がない人や遅れている人にとって不利な検査が行われています。
そのため、検査で実際の能力よりも低く評価をされてしまうこともあるようです。

これについては『てれれ』の診断でも身に覚えがあることでした。
『てれれ』も『自閉性スペクトラム症』と診断された際、お医者さんから「脳のどこが損傷している」みたいなお話は聞きませんでした。
「治らない」と言われたことはないのですが、その一方で「良くなる」と聞いたこともありません。
では、『てれれ』の今の症状は、今後、改善していく見込みはあるのでしょうか??

そもそも本当に知的障害なの?と疑ってみることも必要

『てれれ』は診断によって自閉性スペクトラム症だと分かりましたが、診断以外で知的障害の可能性が明るみに出るケースもあります。
たとえば、学校に入学して勉強で苦労することで「もしかしたら知的障害かもしれない」と自分自身や家族が気づくケースです。
そんな人は「知的障害だから勉強したって無駄なんだ……」と勉強をあきらめる前に、
果たして私の身体の状態は学習する準備ができている状態なのか??
と疑ってみることも大切です。

なぜなら、
身体の使い方や栄養状態に気をつけるだけで知的に伸びる人たちがいる
からです。

たとえば、脳は酸化ストレスに弱いため、抗酸化物質を含む健康的な食事をとることで格段に頭の働きが良くなります。
食品添加物や農薬などの化学物質、意外に思うような食品が発達障害を悪化させる原因となっている場合もあります。
また、糖質制限的な食生活によって発達障害の症状が改善する人の例も数多く報告されています。

本書では、知的障害や発達障害の疑いがある方が身体状態を整えるための参考書籍として、
・『芋づる式に治そう! 発達凸凹の人が今日からできること』著:栗本啓司
藤川徳美先生の一連の書籍
などが紹介されていました。

こちらについても、興味がある方はぜひ併せて参考にしてみてください。

知的障害が改善していく家庭の特徴とは?

知的障害が治らない、あるいは改善しない人がいる一方で、治っていく人もいます。
では、知的障害が治っていく家庭とは、どんな家庭なのでしょうか??

本書では、知的障害が治る、あるいは改善していく家庭の特徴として以下を挙げています。

・子供にとことんつきあう(向き合う)家庭
・子供の好奇心を大切にできる家庭好奇心は発達の原動力!
・子供のひとり遊びに介入して関係性を作れる家庭
・快食、快眠、快便となるように生活リズムを整えてくれる家庭

知的障害の人は、知的な発達を阻害してしまう愛着障害やトラウマを持ちやすいのですが、上記のような環境では愛着障害やトラウマの解消がしやすいようです。

愛着障害というのは、乳幼児期に特定の養育者(母親や父親など)との愛着形成がうまくいかず、問題を抱えている状態のことです。
愛着障害を持つ人は、対人関係において不安定で依存的であったり、拒絶などの恐怖を感じやすく、しばしば自己肯定感や自己価値感に問題を抱えていることが少なくありません。

愛着障害やトラウマは神経系の目詰まりとして、知的障害や発達障害の人の発達を阻害しています。
たとえば、愛着障害の人が抱える『不全感』や『悲しみ』は神経系の発達を抑えつけているのですが、それらを取り除いてあげることができれば、神経系の目詰まりが取れ、一気に神経系の発達が起きるのです。

では、愛着障害やトラウマの解消には何をすればいいのでしょうか??
愛着障害やトラウマの解消というと難しい話に聞こえて不安になりますが、何も特別なことをする必要はありません。
たとえば、お子さんが好きなものを親御さんも体験して一緒に楽しもうとする行動は、お子さんの気持ちを嬉しいという感情で満たすことでしょう。
お子さんの気持ちや好奇心が満たされれば、お子さんの発達が促され、次の発達段階へと進むのです。
このような自己肯定感と他者への信頼が積極的に育まれる家庭は、知的障害(発達障害)が改善、あるいは治っていく傾向にあります。

遊びを通して未来を夢見る力を養っていくことが大切

では、知的障害や発達障害が改善していく子供の遊びとしては、どんな遊びがあるのでしょうか?

本書の中では『お母さんごっこ』や『かくれんぼ』、『どろんこ遊び』や『水たまり遊び』が、お子さんの欠けていた発達課題を満たす遊びとして紹介されていました。

『かくれんぼ』は自分を探してくれる愛着対象を信頼する遊びですし、『どろんこ遊び』や『水たまり遊び』も大人の目からすれば無駄に見えるかもしれませんが、視点を変えて子供の目から見つめてみるとどうなのか、ということを想像してみることが大切です。

子供たちは、見守ってくれる存在がいてこそ初めて子供らしくなれます。
子供たちが安心して無駄な遊びができるように、大人は傍で見守り、一緒に楽しんでファンタジーを育んでいきましょう。
子供たちは、大人に見守られながら夢中で遊ぶなかで自分たちの発達課題を満たしていきます。

では、なぜ、子供のファンタジーを育てていくことが大切なのでしょうか。
それは、ファンタジーを育む遊びをたくさんすることが未来を思い描く力に繋がるからです。
知的障害がある人もファンタジーを必要としています。
なぜなら、ファンタジーの世界は私たちを守ってくれる安心・安全な世界だからです。

『かくれんぼ』や『ごっこ遊び』で育まれるファンタジーは、信頼できる特定の他者と目に見えない絆で繋がることができて初めて成立する世界です。
ファンタジーには、過去、現在、未来を繋ぐ力があります。
信頼できる特定の誰かとの絆を元にして育まれるファンタジーの世界は、トラウマを乗り越えて、『今』と『ここ』そして希望ある未来へと繋げてくれるのです。

では……。
言葉が話せない我が家の『てれれ』は、どんな風にファンタジーを育んでいけばいいのでしょうか……?
もうすぐ5歳になる『てれれ』は自閉性スペクトラム症で、言葉によるやり取りができず、また、こちらの言うことを理解することができません。

本書を読み進めることで、そんな『てれれ』に対しても、まだまだ私たちにできることが沢山あることに気づかされました。
もし言葉でやり取りすることができなくても、こちらからアプローチできることは沢山あるのです。

たとえば『てれれ』の表情や目や身体の動きなどから、『てれれ』の気持ちを察することができます。
それに言葉のやり取りが少なくても、あるいは無かったとしても、親の方も心から楽しんで子供と向き合えば、子供の方から次にどうしてほしいのか、自分の気持ちを教えてくれるのです。

お母さん、抱っこして。
お父さん、一緒に絵を描いて。
お母さん、こちょこちょして。
お父さん、お膝に乗せて。

私たちは、その時その時で、子供のしてほしい遊びに付き合ってあげれば良かったのです。
現在の『てれれ』の場合は、高い高いをしてほしいとか、おんぶしてほしいとか、ヒザや足の裏をくすぐってほしいみたいですね。
だから、傍にいるとクレーン現象でひたすらに私や妻の手をヒザや足の裏に持っていきます(笑)

知的障害の人はトラウマを抱えやすい

意外かもしれませんが、知的障害の子供がいる家族でも、お子さんのことで気づいていない事柄があります。

それは、知的障害の人がトラウマを抱えやすい、という事実です。

知的障害の人は言葉を使って十分に気持ちが伝えられない分、劣等感やトラウマを抱えやすいのです。それで円形脱毛症になってしまう人もいます。
それに、知的障害や発達障害の人は、どう頑張っても他の人と同じようにはできませんし、家族に保護されすぎている環境では主体性も奪われてしまいがちです。
そのため、知的障害の人たちは、自己肯定感よりも劣等感の方が強い傾向にあります。
私たちは知的障害を抱える人たちが劣等感を持ちやすいことを理解し、配慮した上で関係性をつくることが必要なのです。

また、ご家族の方にひとつだけ覚えていて欲しいことがあります。
それは、知的障害の人がトラウマを持ってしまったとしても、それは決して親のせいではないということです。
知的障害の性質上、どうしてもトラウマを抱えやすくなってしまうだけなのです。

実際、息子の『てれれ』も、自分が思っていることを私たちに上手に伝えることができず毎日悪戦苦闘しています。

たとえば、こんなことがありました。
それは、ある日の夕方のことでした。
『てれれ』は支援施設から戻ってきたばかりだったのですが、ひどく機嫌が悪く泣きわめいていました。
そんな時、いつもおやつをあげると収まるのですが、今日はまったく収まりません。
『てれれ』は、ずーっと大きな声で泣いて怒っています。
抱っこしてもダメ。
寝かせようとしてもダメ。
けたたましい泣き声が家中に響き渡っており、焦燥感が私自身も募っていきます。

でも、『てれれ』は泣くことで自分の要求を何とか必死に伝えようとしているのでした。
もし、ここで自分の欲求が叶えられなければ、その無力感は、『てれれ』の自主性が育まれることを邪魔してしまうかもしれません。
自分の欲求を伝えても見捨てない誰か、自分の気持ちを知ろうとしてくれる誰かが子供には必要なのです。
自分の本当の気持ちを伝えても見捨てない誰かがいることで、初めて子供は自分自身がこうしたい、という気持ちを強く主張することができるのですから。

これは単なる我儘ではなく、『てれれ』の発達にとても重要なことなのではないか。
本書を読むことで、私はそのように考え始めていました。

そこで、私と8歳のお姉ちゃんは、てれれが求めていることを検証し始めました。

どんなおやつが食べたい?
お煎餅? NO!
干し芋? NO!
バナナ? NO!
魚肉ソーセージ? NO!
じゃあ、喉が渇いている? NO!
やっぱり抱っこ? NO!

そして、ようやく見つけました。
なんと、私が食べていた野菜炒めの残りを箸で口に持っていくと、『てれれ』は食べ始めたのです!
しかも、ムシャムシャ食べているのは、いつもは食わず嫌いで決して食べようとしないキノコでした。
お姉ちゃんが食べていて、やはり、いつも『てれれ』が見向きもしない厚揚げも、その日は丸々1つ平らげてしまったのでした!

それは、私にとって大きな発見でした。
『てれれ』は超がつくほどの偏食なので、毎日決まったものしか食べません。
でも、今回は珍しく私が普段食べているものや、お姉ちゃんが食べているものを欲しがったのです。
それは、味覚が変化したとも言えるし、周りと同じものを食べたい、という『てれれ』の新たな欲求なのかもしれません。
いつの間にか、『てれれ』欲求のレベルが上がっているという事実に驚かされました。
また同時に、もしかしたら『てれれ』の欲求を叶えて心を満たすことで次の発達に進んでいけば、喋ることができなくても、今後、『てれれ』が私たちに自分の意志を伝達することが、今よりもっとスムーズになっていくのではないか、と思ったのです。

本書のおかげで、『てれれ』の望むことを一つ一つ満たしていけば、それが『てれれ』の新たなステップアップに繋がっていくという希望を持つことに至りました。
『てれれ』のできることの幅が広がることは、『てれれ』の未来への可能性を広げていくことへと繋がっているのです。

知的障害が治るとどんなメリットがあるの?

この記事を読んでいる方の多くが、知的障害が治ってほしい、改善していったらいいな、と思っている方かと思います。

なので、ここで今更にはなりますが、知的障害が治るメリットを再確認してみましょう。

知的障害が治ると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
本書では、10個のメリットが紹介されていました。

①自分の中で、過去・現在・未来がつながる→未来を思い描ける!
②身体が丈夫になる
③自己肯定感が上がる
④コミュニケーション能力が上がる
⑤社会生活能力(規律を守る力)が上がる
⑥モチベーションが上がる
⑦困った時に誰かに相談できる
⑧ねばり強くなる
⑨生きがいが持てる
⑩感情のコントロールができるようになる

いかがでしょうか。

知的障害が治るというのは、良いことだらけなのです♪
なぜなら、知的障害の方がそれだけ自由に生きられる、ということに繋がるのですから。

その一方で、本書では、知的障害が治らない、あるいは改善しないことを望むご家族もいることが書かれていました。
たとえば「知的障害は治らない」とする医師の言うことを全て鵜呑みにして、お子さんの知的障害が治ることを諦めるご家族がいます。
あるいは「知的障害が治らないほうが貰える年金が多くなるので、知的障害が治らない方がよい」と考えている親御さんもいます。
では、重度の知的障害だと、どのくらいの年金が貰えるのでしょうか。
ある自治体においては、重度の知的障害と中度の知的障害で貰える年間の年金額の差は20万円程度だそうです。
それを多いとみるか少ないとみるかは、それぞれの家庭の価値観によるのかもしれません。

ですが、私自身は、少しでも子供が楽しく生きやすくなるのであれば、年金よりも知的障害が改善されていくことを選びたいと思っています。(そんなにお金ないですけど……むしろ貧乏💦)
でも、その方が、『てれれ』と楽しい思い出がもっと沢山つくれそうじゃないですか…!

【まとめ】知的障害は治ります、あるいはゆっくり改善します

まとめに入ります。

知的障害は治りますか?』は、私にとって大きな気づきを与えてくれるとても素敵な本でした。
本書で、知的障害を治すための重要なこととして繰り返し主張されているのは、愛着障害やトラウマの解消です。

知的障害の方が抱える愛着障害やトラウマによる目詰まりをなくしていくことは、知的障害の方が主体的に人生を生きることに繋がっていきます。
そして、自分なりに社会貢献をしていけるようになれば、自己肯定感が自然と育まれ、生きがいや未来への希望が持てるようになっていくでしょう。

『知的障害は治りますか?』は、本当に良い本だと思います。
本書を読んでいる最中、切なくて、涙が込み上げてくるような箇所もありました。
やっぱり、障害があっても、なくても、我が子は可愛いものです。
知的障害がある無しに限らず、子供は愛されるべき存在だと思います。

知的障害のある子供を現在育てている親御さんも、やむを得ず手放すことになってしまった親御さんも、子供を愛したい、愛したかったという気持ちは同じ根っこのところにあるはずです。

本書は、知的障害のあるお子さんや人々の理解を助けてくれる最良の1冊となるでしょう。
本書を読む前と、読んだ後では、以前よりも少しだけ『てれれ』にとって良い親になれているような気がしました。
興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。

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